2026年初め、AIクリエイティブエージェンシーを正式なサービスラインとして立ち上げたとき、私たちは社内に一つの基準を定めました。標準的な動画制作と同等のアウトプット品質を、制作時間40%で実現すること。実際のクライアント案件で6か月運用した結果、何が起きたのか――そしてAIがどこで働き、どこで働いていないのかをお伝えします。
「60%」という数字の内訳
この見出しの数字は本当ですが、文脈なしでは誤解を招きます。典型的な30秒のブランドショート動画の場合、AI導入前のワークフローでは、ブリーフから最終カットまで約22時間かかっていました。AIを取り入れた制作では、それが約9時間に下がります。削減の大半は、次の4つの具体的な箇所から生まれています。
- 絵コンテ生成(8時間 → 1時間、-88%): AI画像生成が、文章のトリートメントからドラフトのフレームを作ります。ディレクターが確認し、修正を依頼し、30分で確定。従来は絵コンテ作家が半日かけて何度もやり取りしていました。
- Bロール・ストック素材の代替(4時間 → 0.5時間、-88%): 実際のストック素材のライセンスが遅い・高い・不可能な場合に、ナラティブ用Bロールを生成動画でまかないます。ヒーローショットは今も実写で撮りますが、トランジションや状況説明のカットアウェイはAIが担います。
- 音楽・サウンドデザイン(3時間 → 0.5時間、-83%): ムードとBPMに合わせた、権利的にクリーンなBGMをAI音楽生成で用意します。作曲家が確認・調整しますが、ゼロから作曲することはなくなりました。
- 一次編集(5時間 → 3時間、-40%): 自社IPのリテンションカーブから得た知見に基づき、AIがカットを提案します。最終カットの責任は今も編集者が完全に持ちます。AIは「どこから始めるか」の段階を圧縮するだけです。
あえて自動化しないこと
- 最終的なクリエイティブディレクション。 ショート単位の判断は、すべてディレクターが下します。AIは提案し、人が決めます。
- 出演者のディレクション。 本物の人が、本物のカメラの前に、本物のディレクターと立ちます。クライアントワークにおいて、明確な同意と契約なしに人の顔や声を生成することはありません。
- ブランド戦略。 どんな物語を、誰に、どんな行動喚起で語るか――これらは人の仕事です。AIは「どう作るか(how)」を最適化しますが、「何を作るか(what)」には決して踏み込みません。
クライアントにとっての意味
2つの具体的な変化があります。
- 納期が2週間から4〜5営業日に短縮。 標準的なショート動画キャンペーンの場合。品質基準は同じまま、カレンダー上の日数が減ります。
- 量のスケールが可能に。 これまで予算内で月4本だったブランドが、同じ予算で月8〜10本を制作できます。この経済性が、かつては大手メーカーだけのものだった頻度で、より小さなブランドも展開できるようにします。
これから
次は、AIを取り入れた長尺(10分以上のドキュメンタリー編集)の精度を詰めていきます。初期の結果では、こちらも50%の時間削減が見込めますが、品質には、より多くの人によるチェックポイントが必要です。ワークフローが安定したら、HCAでコース3のアップデートとして公開します。
パイロット案件でAIクリエイティブのワークフローを試してみたいブランドの方は――ぜひお話しさせてください。
― 株式会社HARAHARA





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